余市町内国道５号から登町を仰ぎ見ると最初は緩やかな丘が連続して現れる。そこを通りすぎると傾斜がきつい丘、山の斜面がせり出してくる。余市農道空港を通り過ぎたあたりで山の中腹を見渡すと、なんとも雰囲気のある建物が現れる。ここがリタファーム＆ワイナリーさんである。すぐ近くを通る道道からは、見えるようで見えない、離れれば離れるほど畑がよく見えるという不思議な、しかしブドウ畑としては最高の場所に位置する。時々このあたりを通る度に覗かせていただくが、ほとんどの人が何時もかがんだ状態で作業をしている。即ち雑草取りをしている。もちろん手作業である。殊更ブドウ収穫は手作業だと強調するワイナリーは多いが、それもこの雑草取りに較べれば明るい作業である。手摘み収穫も常に畑を良い状態に保っていればこそ生きる。雪がない季節は雑草との戦いである。病気との闘いである。ここは風が強い。暖かい季節、海からの風は平地で緩やかに流れ、そして麓のあたりから、あたかもベンチュリー効果のように速度を増し一気に駆け抜ける。湿度をも乾燥させる。その風が灰カビなど様々な病害を防ぐ。だから、ここにはピノノワールのみならずメルローやシャルドネ、ソーヴィニョンまであこがれの品種が良く育つ！本格的ワインにはことかかない。造りにブレがないだけではなく、技術的にもかなり高い。ある時、完熟前に台風が上陸した。この時ワイナリーは、台風上陸前の早期収穫を選択。臨機応変に対応し見事なロゼを造った。こんな例には、いとまが無い。ここは明らかに畑主義、そして技術レベルの相当高いワイナリーである。